神経とシナプスの科学 現代脳研究の源流

杉晴夫先生の神経とシナプスの科学 現代脳研究の源流を読んだ。おそらく脳科学というものに多少なりとも興味を持っている人間が手にとるようなタイトルとなっている。改訂版でタイトルが変わったらしい。しかし期待している内容とは違い、むしろ脳科学礼讃に待ったをかけるような内容だった。

基本的な内容は研究史を踏まえて古典的な神経生理学を学べる本だった。単語に関しては初学者にも丁寧に、しかし内容自体は簡単にページをめくれないような濃厚さであった。我が大学の生理学の講義を受けるよりは分かりやすく感じる。それでも買ったのは2か月前で国家試験もあり手は止まっていた。春休みで時間もあるため、ここ1週間で少しずつ読み進めて読み終えられた。

特に電気的二重層や容量性電流の説明は狐に化かされたように感じた当時の講義での解説の隙間を埋めることができ、膜電位の実態を理解することができた。医学部二年生全員に薦めるのは迷うところだが、神経生理学について腑に落ちないところがある人は読んでみてもいいかもしれない。